こっちがゴジラ新世紀(二重の意味で)

ゴジラ×メガギラス~G消滅作戦~〈通常版〉 [DVD]

ゴジラ×メガギラス~G消滅作戦~〈通常版〉 [DVD]

よくぞ立ち直らせた。
 
前作に比べるとかなり満足度の高い作品に仕上がっています。
「エネルギー施設を破壊する」と言う前作の設定を引き継いではいますが、
ゴジラが人類に制裁を加えるかのような印象は与えないつくりになっており、
ゴジラは本能的にそのようなエネルギー施設を狙っているように見えます。これなら納得しやすい。
 
ゴジラに上官を殺された田中美里演じる女性自衛官ゴジラへの執念を軸に、
小型ブラックホールを利用した対ゴジラ用兵器と、その実験の結果現れた古代生物による被害などが描かれます。
第二の主人公たる谷原章介演じる技師の青年も物語の軸を乱さない程度に雰囲気をかき回し、
見ていて飽きないつくりになっています。
 
合成技術の進歩と特撮演出のパワーアップも目を引きます。
怪獣の見せ方も効果的で印象のよいカットが多く、研究の成果が出ているな、と感じました。
 
ただ、空撮のカットが多いのは気になりました。ミレニアムの時もそうでしたが、やたらと怪獣を空から撮る。
プールの中ならまだしも、ミニチュアの中でたたずむ怪獣を空から撮るのは非常に危険です。
ミニチュアの限界がばれてはどうしようもありませんし、怪獣の巨大感の演出も難しくなります。
個人的に空撮で印象的なカットは、
ゴジラの逆襲」の終盤で大失敗した空撮カット(ゴジラはきぐるみじゃなくて人形らしい)と、
「VSキングギドラ」の最終決戦冒頭の新宿新都心。こちらはゴジラに空中から迫るメカキングギドラの視点で、
非常に迫力がありました。
 
今回もお台場フジテレビ前を歩くゴジラを空撮していますが、
ブルーバックで撮影したゴジラと実際に空撮したお台場をデジタル合成で無理やり合わせています。
ひとコマひとコマ手作業で合わせた後が見受けられ、努力は賞賛したいのですが、それに見合う効果があったかどうか。
ミニチュアの限界を見せないよう、空間の広がりを演出する方法はいろいろあると思うのですが、
やはりノウハウがまだ戻ってきていないのでしょうか。
 
あ、もうひとつだけ。
そのオチはどうかと思います。田中美里があんなに頑張ったのに・・・。