ゴジラ新世紀一歩手前

ゴジラ2000     -ミレニアム― [DVD]

ゴジラ2000 -ミレニアム― [DVD]

・・・えーとですね。
筆者はあんまりネットスラングって好きじゃなくてですね。
このブログ見てる人なら使う頻度の少なさからお察しいただけると思うんですが。
・・・。
今回は使います。ええもう積極的に使います。
 
こ れ は ひ ど い 。
 
えー、あのですね。皆さん落ち着いてください。筆者も落ち着きます。
 
えー、ちなみに筆者はですね、ゴジラシリーズは'54の第1作からVSデストロイアまでは全部見てるんですよ。
で、どの辺が一番好きかって聞かれたら「ファースト」および「'84+ビオランテ」と答える人なんですね。
はい、それを了解していただいた上でお聞き頂きたい訳ですが。
 
まずですね、ほんの4年前のVSデストロイアの時と比べての特撮技術の退化があまりに著しい。
CGや合成のチープさもありますが、それとは無関係に撮影のノウハウが完全に失われていると感じました。
カメラワークを中心とした「画面作り」の演出が明らかに弱体化しています。
これはやはり、モスラ2を最後に怪獣特撮を去った「特技監督川北紘一」の偉大さを思い知るところです。
 
また、画面の魅力の退行は特撮シーンだけでなく人物を写す一般のシーンにも及び、
ビスタよりもさらに横長の「東宝スコープ」と呼ばれる画面の広がりを活かしきれない所が散見されました。
 
もうひとつ、脚本がかなりひどいです。
むやみに大げさな台詞や、もったいぶった台詞、月並みすぎる台詞が怒涛のごとく押し寄せ、
更に役者の演技もそれに追随するように、悪く言えば「チープ」なものになってしまっています。
これは現場での演出の問題でしょう。
いくらなんでもあそこまで、誤解を恐れずに言うならば「アニメ的」な芝居をさせる必要はなかったはずです。
主に佐野史郎阿部寛に。
 
あと、「ゴジラはなぜ破壊を行うのか」という問題に無闇に言及して、逆に説得力を失っているきらいがあります。
ファイナルウォーズのときもそうでしたが、「ゴジラは怒っている」という前提は間違っていると思います。
「間違っている」と言うと語弊があるとすれば、その前提ではゴジラの魅力を削ぐ、と言い換えましょう。
ファイナルウォーズのラストシーンでは(それ以外の部分は許せるだけに)本当に呆れ返りましたが、
今回も同じく、序盤で「ゴジラは人間の作り出すエネルギーを憎んでいるのか?」などという台詞で
その考え方がちらつき、なんとも言えない気分になりました。
 
最後の台詞も、うまいこと言ったつもりかもしれませんが正直言って全く意味を成していません。
 
いや、褒めるべきところはあるんですよ、
ゴジラが街を破壊するシーンでエンドロールとか斬新で面白いと思ったし、
ゴジラの動向を予測する民間団体とゴジラ抹殺を目指す自衛隊の対立っていう構図は
シンプルだけど分かりやすいし。
そういういいところをあまり活かしきれなかったのも事実でしょう。
 
こりゃ、ミレニアムシリーズにアンチが発生するのも無理はないでしょう。
次の作品で、多少救われる感じはありますが。