廃棄生物の慟哭

WXIII 機動警察パトレイバー [DVD]

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原作の「廃棄物13号」は読了。
原作の時点でも、いい意味で後味の悪い名エピソードだったと記憶している。


総監督はマイベストガンダムポケットの中の戦争」の監督、高山文彦氏。
ポケ戦の後味の悪さも相当なものだが、この作品をどう料理したのか気になっていた。


構成としては、刑事モノのラインをベースに怪獣映画を混ぜた感じ。
パトレイバーの中では非常に珍しい「対生物」エピソードであり、
もともと特車二課と事件の真相とはつながりがほとんどない。
そのためか、今作ではあえてメインのストーリーラインを特車二課から完全に切り離し、
レイバー連続破壊事件を追う二人の刑事の視点から物語を進めている。
この辺りを理由にこの作品を嫌う人は多いのだろう。
本来の主人公たる二課の面々が端役にされては、仕方ないかもしれない。
俺としては逆に評価したいくらいなのだが。


個人的には、ハリウッドのモンスター映画に見られるような「敵の姿が見えないまま段々と拡大する被害」とか、
日本の怪獣映画に見られるような「敵の正体や必勝の策を探り当てる過程」などの描写が取り入れられていて好印象。
やっぱ俺、怪獣映が好きなんだな。


しかし、クライマックスは流石、高山監督。
刑事ドラマ、怪獣、ロボットというこの作品の3大要素が、すべて「バッドエンド」という形で結びつく。
ありえないほどやるせないが、非常に美しく事件は幕を閉じる。
そして、ラストカットで舞い戻る「非情なる日常」。


もしかしたらパトレイバー劇場版の中で一番好きかも。