ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

見てきました。
以下ネタバレ含む。




さて、考察とかはもういいでしょう。
細かい設定とか原作との関係とか抜きにして非常に面白い作品に仕上がっていました。
シンジの「エヴァに乗ること」に対する葛藤やクラスメイトとの関係に関しても、
原作に比べ非常に簡潔に、スムーズな展開に組みなおされ、非常に見やすく、楽しみやすいものになっている感じ。
あとCGの使い方もうまい。
「ビルが生えてく!」のシーンのCGによる迫力ある映像は本当に感動ものです。
単なる無機質な正八面体だったラミエルがCGによって
ソリッドでありながら非常に有機的な「生物」として再解釈されていたのにはただただ驚嘆。
さすがに変形するのは反則でしょうよw


さて、一緒に見に行ったわが友人たちはしきりに「音」に注目していました。
曰く、エヴァにおいて効果音は作品の土台を支える非常に重要な位置にあるばかりか、
その独特な音は他の作品で使われれば一目(?)瞭然である、と。


果たして。
実は俺、エヴァの効果音を思い出せといわれて思い出せるものがほとんど無いのです。


ガンダムならいっぱいあります。MSの間接駆動音、足音、ビームライフル・・・
種になるとさらに独特ですね。ブースト、盾によるビーム防御、一部の特殊なビーム兵器・・・
マクロスならばガンポッドが独特ですし、ドラゴンボールのエネルギー弾も非常に耳に残るものでした。


で、エヴァ
思いつくのはATフィールド展開だとか使途の「光線」だとかそのくらい。
建物が壊れるだとかパレットライフルだとか足音だとか、そういうのはまったく覚えてすらいない。
なんでだろう、と考えてみると、ひとつ法則を発見。


俺が覚えてるエヴァの効果音は、すべて「現実には存在しない音」なんですね。
ATフィールドは実在しませんし(心の壁はあるとしてもバリアじゃないですからね)、
使途の光線も然り。自然界には絶対に存在しない音なんです。
そして、逆に印象に残っていない効果音は、可能性の問題はおいといて「存在しうる音」。


ここまで考えて理解。つまり、
エヴァを見ている時、俺は効果音を効果音としてではなく、
「本当に画面の中の物体が出している音」だと考えているのです。
言い換えれば、そう考える余地があるほどにリアルな効果音といえるのかもしれません。


たとえばMSの駆動音、特徴的で印象的ですが、あれは「リアルな音」ではありません。
いうなれば「※これはイメージです」という文句がつくような音。「記号としての効果音」と言えます。
MSが動いているということを説明するためのわかりやすい記号として用いられる効果音なのです。
MSがもし現実に存在し動いたとすれば、確かに音は出るでしょうが、
ガンダム作品で使われるような効果音に近い音は絶対に出ないでしょう。
そういう意味でリアルではない。
マクロスのガンポッドもそうです。ガンポッド、すなわち外付け式機銃は実在する兵器ですが、
現実に撃ってもマクロスの劇中のような音は出ません。


しかしエヴァにはそのような「記号的効果音」はほとんど使われていないように感じるのです。
説明するのではなく、「感じさせる」効果音、とでも言いましょうか。
そういう、本当の意味での「リアルさ」をロボットアニメ(かどうか微妙ですが)に取り入れているというのは、
考えるだにすごいことなんじゃないかと思うのです。


余談
俺は長年アニメを見てきていますが、キャラの声を聞いて声優を判別する能力、
所謂「ダメゼッタイ音感」はほとんど養われていません。
大塚明夫さんとか井上喜久子さんとか神谷明さんとかならなんとか、関智一さんで迷うことすらあるという有様。
で、このことにも今日説明がつきました。
すなわち、
俺はアニメキャラの声を聞くとき、「本当にそのキャラが喋っている」と考えているのです。
そう考える余地はあります。なぜならキャラの声は実在する人間の喉から出ている、実在する音なのですから。


もちろん本当にそう思ってるわけじゃないですけど。


・・・そう思いたいのかもしれませんね。