液晶の銀幕は少し小さいけれど。

紅の豚 [DVD]

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俺が認める宮崎駿最高傑作。俺の中ではナウシカもののけも目じゃないぜ。
やはり俺が好むアニメは、カッコよくて夢のある話なんだなあ。


だってアニメですよ。現実じゃない、紙に書いた絵を動かしてるんですよ。
じゃあ、現実なんて忘れましょう。
現実は小説よりも奇なり、と言うけれど、それは単に奇なだけじゃないか。
アニメなんだから、人の手で一から作る映像なのだから、
現実の奇なんか忘れて、想像の楽しみを、空想の快さを描き出しましょうよ。
だって、アニメは、絵に描いたものをあたかも現実のように見せることが出来る
魔法のようなものなんですから。


・・・あ、調子に乗って紅の豚そのものの観想書いてない。
じゃ、好きな台詞をいくつか。


「…いい映画じゃないか。」
          ・・・フェラーリ


「いい娘だろ?
 …手ぇ出すなよ。」
       ・・・ピッコロおやじ


乱 [DVD]

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リア王」をベースに舞台を戦国時代の日本に移し、争い殺し合わずにはいられぬ人の業を描く。
圧倒的な作品だと思う。もはやそうとしか言いようがない。やっぱ黒澤はすごい・・・。




CASSHERN [DVD]

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こちらも描くのは人の業か。公開当初は酷い言われようだったが、俺は気に入っている。
タツノコプロのアニメ「新造人間キャシャーン」をベースに、世界観や設定を独自に構築。
50年にわたる第2次大戦で疲弊し、汚れ、未だに多くの命が失われ続ける終末的世界で
なおも生きようとする人間の執念と、ひとつの奇跡によって生み出された「新造人間」。
しかし、望まれず生まれ出でた彼らに、人間は生きる権利を認めなかった。
復讐に燃え、人類の抹殺を宣言し、ロボットによる殺戮を開始する新造人間、ブライ。
戦場で失った命を、新造人間たちを生み出した「奇跡」によって取り戻し、
鉄の悪魔たちに挑む東鉄也=キャシャーンの壮絶な戦い。
と、この時点で原作の新造人間キャシャーンから少しずれている。
この後の展開で原作を知る人間は更に驚かされるわけだが。


戦闘シーンの絵コンテはあの樋口真嗣
流石としか言いようの無いほどカッコイイ!ものに仕上がっている。
これだけのためにもう一度見てもいいのではないかと思えるほど・・・ではないか。
にしても、暗く重いストーリーに華を添える爽快なアクションシーンだ。


内包したかなり重めなテーマと見ようによっては陳腐な終末観が軽い気持ちで見に行った人間を萎えさせ、
大胆過ぎる世界観の改変や本当に衝撃的なラストシーンが原作ファンの怒りを買った本作。
しかし、アキバでパーツを集めて組んだPCから生み出された映像は、
一流のスタッフの手により非常に美しいものとなり(半分以上のシーンの背景がCGである)、
若手監督らしい挑戦的とも取れる演出は斬新な映像を生み出し(すべてのシーンで成功したとはいえないが)、
そのストーリーは、変な言い方になるが、
「20世紀末のアニメ作品群の集大成」という捉え方も出来るかも知れない。
脚本は監督のほか、菅正太郎、佐藤大。完全にアニメ畑の人間たちが作ったストーリーである。


人を選ぶ作品だ。
俺はこの作品を名作と評するが、迷作、駄作と言う評価を下す人もいて当たり前である。
だが、映画を見る前の印象とは全く違う評価を下す人も多いようだ。
ぜひ、いろんな人に見ていただきたい作品だと思う。
もしかしたら、何か心の中に残るものがあるかもしれない。


「命がただ一つでないのなら、我々は何のために必死になって生きているんです?!」
                                  ・・・上条中佐