あらゆる映像作品の原点は映画である

と個人的には考えている。


富野由悠季の言葉を借りれば、
「映画的なるもの」を表現するのが映像作品、ということになるだろうか。
ドキュメンタリーだとまた違ってくるのかな。*1


何の話かというと、最近有り余る時間をもてあまし(確実に勘違いだが)
ゲームにばかりつぎ込んでいたので、
ここはひとつ教養と思って映画でも見てみようという気分になった、ということ。


本日はこの作品。

天国と地獄 [DVD]

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身代金誘拐事件を扱った正統派サスペンス。黒澤作品では珍しいジャンルだと思う。
犯人の電話を待つ前半は息詰まる密室劇。
事件後の捜査を描く後半は純粋な刑事ドラマ。
それぞれの主役である製靴会社重役と敏腕警部に三船敏郎仲代達矢
ヤベーマジカッコイイ。
仲代達矢は年食ってからの演技ばかり見ていたので、若いころの作品は新鮮。


常に登場人物のうち誰かの視点に即したカメラワークが印象的。
BGMが非常に少なく、あったとしても効果音的な使われ方が多いのは黒澤作品の常か。
後半のストーリーは、犯人に一歩一歩着実に近づいて行く様が心地よいとすら感じられる展開。
最近のサスペンスには巧妙なトリックに頼りがちで警察が無能なものが多いが、
たまには警察が勘違いをしたり犯人の罠にかかったりしない作品もいいものではないだろうか。
そういえば、「人間の証明」を見たときも似たような心地よさを感じた気がする。
(「人間の証明」も警察が勘違いしちゃう場面があるが)


それより名も無い捜査官の役で出演している今は亡き名古屋章の存在感が異常w
マユゲ!マユゲ!

*1:ドキュメンタリーだろうが、人が恣意的に取った映像は少なからず映画的だ、って話を思い出した。これもトミノだっけ?